バーコードを使った工程管理の導入提案

導入実績/お客様の声

バーコードを活用する現場 < 新潟クオリティサプライ株式会社様 導入事例 >

高品質な製品を提供しつづけるため、より正確でタイムリーな情報収集にバーコードシステムを導入したハイテク製品メーカの事例をご紹介します。

「必要な情報を効率的に収集したい」「導入時の負担は最小限に抑えたい」

「越後の小京都」自然豊かで情緒あふれるまち新潟県加茂市に本社をおく新潟クオリティサプライ株式会社は、ハイテク製品を支える電子回路基板の製造メーカとして、製品を供給しています。

24時間稼働する工場をマネージメントする管理部のみなさんにお話を伺いました。

新潟クオリティサプライ本社

加茂市に本社を置く、新潟クオリティサプライ株式会社様

新潟クオリティサプライ本社

本社会議室

「品質とは何かを考える」

- 2007年12月28日にISO9001:2000も取得され、製品・スタッフ、工場全体が御社名でもある「クオリティサプライ=高品質」を維持していくため、何が一番大切なことなのでしょうか?

専務のお写真

お話を伺った、管理部統括部長 桑原専務

入力風景

簡単なバーコード操作で正確な情報収集がリアルタイムで可能になった。

桑原専務: 当社の製品は、組み込まれた電子部品が正しく動作するための土台となります。

例えば、自動車に搭載される電子機器にも、当社で製造した電子回路基板が使われています。 どこに搭載される電子部品であっても、常に正しく動作する部品でなくてはなりません。つまり、当社のすべての製造製品が、納品先のメーカにとって常に「信頼」され、そしてエンドユーザに「安心」して使っていただける品質でなければならないということです。

人がやることに「絶対」といことはありませんから、必ず「ミス」や「不良」が発生します。 勿論、それらのミスを可能な限りゼロに近づけるため、あらゆる工夫をする訳ですが、そのためにも「なぜミスがおきたのか」「どうして不良が発生したのか」をしっかりと把握し、フィードバックする必要があるのです。

高い品質を維持していくためには、正確な情報を集め、冷静に分析し、確実に対応できなくてはなりません。

「高品質な製品だからこそ、管理の品質が問われる」

- 管理部が製品の品質に果たす役割いうのは具体的にどういった業務になるのでしょうか?

管理部で情報を見る様子

信頼できる情報を、必要なところにタイムリーに提供していくのが私たちの大切な役割と語る、管理部チームリーダーの斎藤さん(写真左)、吉川さん(写真右)。

桑原専務: 私たち管理部の役割は、「ユーザの信頼」を築き、「高品質」を維持するための情報基地ということになります。私たちの製造製品が「高品質」であり続けるためには、私たち管理部が「高品質」である必要があるのです。 管理部としてすべてのセクション、スタッフのために、正確な情報を集め、最適なかたちでフィードバックしていかなくてはなりません。

バーコードによる進捗管理システムは、「信頼」の根幹となる情報をより早く、より高い精度で得られ、管理品質を更に高めることができると考えています。

「管理にはスピード感が必要」

- 実際の現場には、どういった効果があるのでしょうか?

専務のお写真

必要な情報は何か。今の方法が本当に最善なのか。管理部スタッフ、株式会社ウイング、弊社のプロジェクトチームが課題を共有しながらゴールを目指します。

桑原専務: 私たちの工場は24時間体制で生産を行っていますが、喩えれば、陸上競技のリレー競技のようなものです。 バトンを繋いでいくように、生産情報を正確に、且つスピーディーに伝えていかなくてはなりません。

今までも工場内での生産情報は、数種類の報告書として管理・共有されていましたし、現場からのフィードバックで、精度・効率を上げていく工夫がされています。 しかし、手書きによる報告書ではどうしても「ミス」「間違い」が発生する可能性があります。 そして、情報伝達のスピードを上げること。同じような事項を手書きで行う作業は、早い段階でコンピュータシステムを導入しなければならないと考えていました。

また、システム導入に際して、現場作業へ負担なく浸透させることも重要な要素となります。 今回のシステムは操作が非常にシンプルであり、それでいて必要十分な情報を、現場の作業負担を最小限にしながら集めることが可能となりました。 恐る恐るバーコードリーダーを手にしたスタッフも、実際の操作はあまりに簡単で拍子抜けするほどでした。

そして、これも非常におおきな効果のひとつですが、作業報告書の手書き作業に比べて作業負担は大幅に軽減できることが期待できます。

「人こそ品質を保つ"かなめ"」

お写真

24時間体制の稼働情報が簡単に登録されていく。

コンピュータシステムを導入して、かえって効率が悪くなったなどという笑い話もあるようですが、システムとはそれを運営する「人」も含めて考えなくてはなりません。 バーコードで管理しているからというだけでは、望む成果は期待できません。

今回のバーコードシステムは非常にシンプルなシステムですが、各部門のリーダーが集まり、本当に必要な情報は何か、さらに効率化できる方法はないかなどの検討を重ねています。 重要なのは、システムを利用して自分たちがいかに向上できるかを考え、道具としてのシステムをどう使いこなすかということです。

紙とペンの報告書から、バーコードリーダーへとインタフェースは替わりましたが、集められたデータが何を意味しているかを理解し、次の行動へと結びつけていくことが、品質を維持するための重要であることは変わりません。

現場のリーダーは、それらの情報が意味することを理解しているからこそ、素早く的確に処理することができるようになります。

「更なる品質向上を見据えて」

みなさんのお写真

バーコードシステムは、すばやく現場に浸透し、複雑な操作なしに必要な情報を集めることを可能にしました。リアルタイムに得られる情報は、現場のリーダーの判断の正確性とスピードを向上させ、手書きの報告書作成作業を取り去ってくれました。 しかも、業界の専門ソフトなどは数千万円という価格も目にしますから、低予算でそれが可能であったことも大変うれしいことです。 もちろん機能そのものが違うでしょうが、本当に必要なものが何かがわかっていれば、相応の予算でも実現可能なのだということでしょう。

バーコードシステムの具体的な導入検討から本稼働まで4ヶ月ほどでしたが、改めて自分たちの仕事内容を吟味することができたのは大きな収穫です。 バーコードシステムは一つのステップにすぎませんが、導入によって得られる情報は、次の課題解決に向けて大きなステップであることに違いありません。

ー 今日はお話をお聞かせいただいてありがとうございました。

※本、納入システムは、株式会社ウイング様との共同開発案件として納品させていただいた事例です。


バーコードを活用する現場 < 株式会社クラビス様 導入事例 >

シンプルで使いやすい工程管理システムが欲しい。そんな思いをかたちにしたバーコードシステムの導入現場をご紹介します。

作業のルール整理とバーコードシステムの導入で、たった今の状況を把握できる安心感

株式会社クラビスは、フルカラー印刷からポリプロピレン加工、製本まで一貫生産する印刷メーカーです。 主な顧客は、同人誌愛好家。今や携帯電話市場を抜き、数兆円規模といわれるほど巨大な「オタク」マーケットの中でも中核を占める、アニメ・コミック市場。 同人誌マーケットも年々拡大する中、愛好家たちの「作品」を年間3,000件以上手がけ、延べ7,000人を超える顧客からの支持を得ています。

2005年11月から、バーコード入力による作業進捗モニターシステムを導入し、より生産性の高い印刷工場へと進化を続けています。 繁忙期には、10名を超えるスタッフのリーダーとして現場の指揮を執る、清水マネージャーにお話を伺いました。

高品質な印刷をより早く

「こだわり」の強い市場で製品(印刷)づくりをされておられますが、このお仕事でやりがいを感じるのはどのような点ですか?

繁忙期は寝る時間も無いほど忙しいですが、納品して喜んでもらえたときの達成感があります。と語る清水マネージャー

清水マネージャー: 同人誌印刷において品質と同じように、制作期間(納期)が短いことも非常に重要なサービスだと考えています。 私たちのお客さま様の場合、ある同人誌のイベントに向けて作品を描き、その作品を印刷させていただく訳ですが、お客様の作品に対する思いというものが非常に強い訳です。 私たち印刷メーカーにも、この日までという受注の締め切りがありますが、ギリギリまで作品の仕上げにかかってしまうので、締め切りの日には相当な数の受注が集中します。 受注締め切りから、納品までの時間は決まっていますから、まさにその間は戦場です。大きな同人誌イベントの前などには、数百を超えるご依頼をいただきますが、夜遅くまで、あるいは24時間フル稼働の体制で生産にあたります。
それでも、納品後にお客様から頂くアンケートに「ありがとうございました」「きれいに印刷していただいてうれしいです」という言葉を見ると、「喜んでいただいた」「満足していただいた」という達成感がありますね。

お客様の手元に届くまでが生産工程

製品づくり、お客様に対して、最も気を遣うのはどういったことですか?

清水マネージャー: 「品質」「スピード」「価格」のどれもが、私たちにとっての重要なサービスです。でも、これら3つのことは互いに矛盾することでもあるわけで、その矛盾をどうバランスさせるかが非常に難しい点です。 しかし、この3つの重要なサービスのどれをとっても、約束の日、時間にお客様の手元に納品できなければ、意味のないことになってしまいます。 そういった意味で、当たり前のことですが、指定された時間に、指定された場所にきちんと納品できてこそ、「品質」「スピード」「価格」の3つが価値をもつのではないでしょうか。 仕上がった製品がきちんんとお客様の手元に届き、満足いただけて初めて私たちの製品やサービスが納品されたことになる訳ですから、工場スタッフにも、自分たちが印刷した製品を受け取るお客様の顔を意識して作業するよう指導しています。

お客様の信頼を裏切らないために

これまでは、どのような方法で受注状況の管理や、生産状況の管理をされておられたのですか?

整然と並ぶ印刷機。繁忙期には24時間体制で稼動することも。

清水マネージャー: 短期間で多くの印刷件数をこなさなければ、納期に間に合わないわけですが、どこの会社もそうであるように、必要最小限の人数で仕事をこなさなければなりません。 大企業のように、生産管理課など独立した部門があるわけでもないですから、やはりスタッフとの情報交換を十分していないと、判断を誤ることもあります。約束した納期で納品できなければお客様の信頼を得ることはできません。 以前に、表計算ソフトに生産の進捗情報を入力して管理したこともありましたが、戦場のような忙しさの中で、現場の作業スタッフが不慣れなキーボードでデータの更新をするのは現実的ではありませんでした。 1日2回、作業進捗ミーティングをしているのですが、その場で現場の各作業担当から口頭で報告される状況を元に、判断するしかありませんでした。

胸のもやもやが晴れたような気分

バーコードを利用した情報管理の方法を導入されて一番よかったことは、どんなことですか?

印刷が終わり、作業指示書に付けられたバーコードを読み込む。ほんの数秒で登録完了。

清水マネージャー: 作業担当者からの口頭報告だけでは正確性に欠けますし、繁忙期になればアルバイトのスタッフも加わりますから、なんとか効率的な管理方法がないものかと模索していました。 先ほど言いましたように、パソコンの表計算ソフトに受注ごとの進捗状況を打ち込む方法を試したりもしましたが、思うように作業の中に浸透しませんでした。 今回導入した、作業進捗モニターシステムのバーコード読み取りは、入力作業がまったくといって良いほど作業負担にならないこところがすばらしいです。 各作業現場に設置されたパソコンから、工程が一つ終了するごとにバーコードを読み取らせるのですが、読み込ませる作業そのものはほんの数秒です。 今まで、進捗報告書やミーティングの口頭報告で得ていた情報が、リアルタイムで見れるようになったときは胸のもやもやが晴れたような気分がしましたね。

進捗一覧の表示画面。どの受注がどの作業まで進んでいるか、各作業ラインから入力される情報は、どのパソコンからでも参照できる。

私たちの仕事というのは、最終的に「本(冊子)」を作ることなので、表紙、本文、それらを製本するという、大まかに3つの生産工程があります。 表紙はカラー印刷機で印刷をし、本文は両面印刷機で印刷をするので、それぞれ別なオペレータが作業を行います。 本のかたちになる製本工程では、表紙と本文どちらも出来上がっていないといけない訳ですが、今までは製本現場で、表紙/本文工程のそれぞれの進捗をタイムリーに掴めず、製本作業がどうしても後手後手になりがちでした。作業一覧の画面をみると、どの受注が製本作業に入れるかが即座に分かるので、現場でのロスタイムが大幅に無くなりました。 もちろん、製本工程でちょうどよく表紙と本文が刷り上るように作業指示を出しますが、それがどのように進んでいるのかも手に取るように分かるので、予定とのずれが生じたときでも、早め早めに軌道修正をすることができます。

顧客の問合せにも即座に返答

工場内の進捗が手に取るように分かる。社内だけでなく、お客様への対応も早くなった。

清水マネージャー: 工場内でだけでなく、バーコード入力によるリアルタイムな情報は、対外的な場面でも効果がありました。 お客様からは、印刷物のページを差し替えたいなど様々な変更依頼やキャンセル、問合せなどの電話やメールを頂きます。 受付で進捗一覧の画面を確認すれば、問合せの受注が今どうなっているのか即座に確認できるので、お客様を電話口でお待たせすることがなくなりました。 「確認してから折り返しご連絡いたします」という対応になることが多かったのですが、バーコード管理の情報によって、当社の信頼度をアップできているのではと感じています。

「スピード」と「タイムリー」を維持するために、自らを鍛える

次の展望は?

清水マネージャー: 現在、バーコード進捗管理システムで得られる情報は、各作業工程の進捗情報、納期までの受注情報、完了情報、作業残情報などですが、どの作業をどのくらいのペースでこなしているかという、当社の体力測定のような情報も得られているので、今後は各作業の生産性基準をつくれるだろうと考えています。 より生産性の高い工場にするためには、スタッフのスキルアップは欠かせません。 進捗管理システムで作業担当者ごとの作業履歴リポートを毎日チェックしているのですが、生産性基準作りと合わせて、スタッフの作業日報を自らの「スキル診断書」のように利用できればと考えています。